初代100選プライム「カルビー株式会社」採用倍率300倍、超人気企業の多様性戦略とは?

経済産業省ーダイバーシティ2.0、企業100選、なでしこ銘柄など

加速の一途を辿る、日本の 少子高齢化、ビジネスのグローバル化、産業構造の変化

「募集をかけても人がこない・・」

「社員が定着しない・・」

「国内市場だけでは頭打ち・・」

といった企業の悩みは年々深刻化しており、これまでのやり方からの脱却が求められています。

経済産業省は、そのような環境での突破口として「ダイバーシティ経営(多様な人を活用して企業の競争力を高める経営)」を推進し、2017年には『ダイバーシティ 2.0 行動ガイドライン』を発表しました。

そのガイドラインに沿って、中長期的に企業価値を生み出す取り組みを続ける企業を選定したものが100選プライム』です。

今回は、初回である『平成29年度 100選プライム』受賞の「カルビー株式会社」さんについて、その取り組みと成果をご紹介します。

「ダイバーシティ経営といっても何から始めればいいのか・・」

と悩んでいる皆さまは、ぜひ参考にしてください。

企業情報

まずは、カルビー株式会社さんの企業情報を見ていきましょう。

公式HP  カルビー株式会社

企業概要
会社設立年:1949年
資本金:12,046百万円
本社所在地:東京都千代田区丸の内1-8-3
事業概要:菓子・食品の製造・販売
売上高:(連結売上高)255,938百万円(2020年3月)
従業員数:(連)4,311名 (単)1,841名(2021年3月31日現在)

ダイバーシティ経営の位置づけとしては、「持続的成長のための重点課題」のひとつとして「経営基盤の確立」を挙げ、「多様性を尊重した全員活躍の推進」を明記されています。

多様性に関する考えは、以下のような強い言葉で表されています。

多様性なくしてカルビーの成長はありません

カルビーグループでは、「女性の活躍なしにカルビーの成長はない」という信念の下、ダイバーシティの最優先課題として従業員の約半数を占める女性の活躍推進に注力してきました。

女性の活躍推進のみならず、障がい者雇用の促進、外国人の活躍推進、LGBTの支援等の属性の多様性の理解促進ならびに価値観やライフスタイルの異なる従業員一人ひとりの個の多様性を活かし、全員が活躍する組織づくり、風土づくりを行っていきます。

ダイバーシティ推進を通じて、多様な個人が自分らしく能力を発揮し、組織や会社の成果を生みだすグローバル水準でのダイバーシティ経営を目指しています。

カルビー株式会社 ホーム>  サステナビリティ>  多様性を尊重した全員活躍の推進>  ダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ経営推進の背景とは?

ダイバーシティ経営推進の背景として、「低い利益率」という課題を挙げられています。

カルビー株式会社さんは、1949年の創業以来、創業家による家族経営で事業を拡大してきました。

しかし創業者の松尾孝氏が、「”同族企業”をいつまでも続けていては破綻する。企業として次のレベルを目指すためには、パブリックカンパニー(公開会社)になる必要がある。」と言い残しており、その遺志を受けて 2005年に初の創業家以外の社長が誕生しました。

その後、2008 年には前会長兼CEOの松本晃氏を迎え、さらなる成長に挑むこととなります。

松本氏は就任後、当時課題となっていた低利益率体質の改善のためには、女性活躍および男女問わず全社員が仕事のやり方よりも結果で認め合うことが不可欠であると考えました。

このようにして、組織改革の一つとしてダイバーシティ経営を推進することとなったのです。

ダイバーシティ経営の成果とは?

次に、カルビー株式会社さんのダイバーシティ推進の成果を見てみましょう。(『平成29年度 新・ダイバーシティ経営企業100選 ベストプラクティス集』よりまとめ)

1.増収増益、新規ビジネスの創出

  • 8期連続で増収増益を達成
  • 女性の事業本部長が開発した「フルグラ」の売上が拡大(2011 年 約 37 億円→ 2016 年 約 300 億円
  • 「フルグラ」は多様化している顧客のニーズを掴み、長年停滞していたシリアル市場の拡大を牽引

その成功を受け、フルグラ事業本部長の藤原かおり氏は、日経 WOMAN が主催する「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2016」において「ベストマーケッター賞」を受賞しています。

2.コーポレートガバナンスの強化、視点の多様化

  • 女性管理職数の増加:2010 年 11 名、 5.9% → 2017 年 66 名、 24.3%
  • 以前は 9 名であった社内取締役を 2 名に減らし、独立性の高い社外取締役を 2 名から 5 名に増員
  • 取締役会の多様化(計7名、うち女性 2 名・外国人 1 名)により、経営上の監督機能が向上し、海外ビジネスや新規ビジネスへの重要な視座を獲得

3.ブランドイメージの向上、優秀な人材の獲得

  • ダイバーシティへの取り組み、フルグラの事例などが各種媒体で取り上げられ、ブランドイメージの向上に寄与
  • 新卒採用の競争倍率:2000年頃 約 100 倍→ 2016 年度 約 300 倍(2016 年度の日本全体の有効求人倍率は1.74 倍)

採用倍率の目安として、「100倍」で日本のトップ50入り、「300倍」はトップ10入りの難易度です。

食品メーカーは元々人気の業界ではありますが、この期間に注目度や好感度が大きく上がったことが伺えます。

ダイバーシティ経営をどのように進めたの?

それでは、各取り組みを実際にどのように進められたのかを見ていきましょう。

社内の「理解」と「納得」

ダイバーシティを「理解」「納得」「行動」の 3 ステップで推進。まずは社内の「理解」を得て「納得」させるということを第一のゴールと設定。

  • 2010年、社員の啓発活動を主に行う「ダイバーシティ委員会」を社長直轄にて本社に設置
  • 「カルビーダイバーシティ宣言」や「カルビーグループ ダイバーシティのビジョン」を策定
  • 2014 年、現場主体の推進体制として、 4 つの地域事業本部と関連会社ごとに「ダイバーシティ委員会」を設置
  • 各地のダイバーシティ委員会の活動を共有する「ダイバーシティ・フォーラム」を毎年開催
  • 会長、社長が同社の各拠点に出向き経営方針等を説明する「タウンホールミーティング」を実施

目標の設定、成果を評価する風土へ

「”投下した時間=成果”という考え方は誤りであり、 夜中まで残業しても結果を出さなければ評価されない。」ことを社内に強く発信。

  • 「2020 年までに女性管理職比率 30%」という KPI を設定
  • 2010 年、成果に基づく評価制度として C&A(コミットメントアンドアカウンタビリティ)制度を導入
  • 2013年、時短社員を執行役員(中日本事業本部)へ昇格
  • 会長・社長自身も、 C&A(コミットメントアンドアカウンタビリティ)として女性登用について数値でコミットし、それを全社員に公開

会長・社長がダイバーシティに関する数値を約束、公開することで、全社的な意識改革およびダイバーシティへの取り組みを促進。

さらに、「ダイバーシティ推進を通じて企業が成長するためには、社員一人ひとりが自身のキャリアを考え、自らスキルアップをしていく意識を持つことが必要である」として、人事戦略として「チャレンジ制度」を導入

「チャレンジ制度」には、部長職・課長職に挑戦する「役職チャレンジ」、希望する職種・部署へ挑戦する「仕事チャレンジ」、海外勤務に挑戦する「海外武者修行チャレンジ」などがあり、キャリアを自ら考える機会となっています。

社外への積極的な発信

  • 2011年、東証一部上場
  • 株主や投資家に向けて、ダイバーシティ推進に対する取組と成果を積極的に開示
  • 社外の認定や表彰制度にも積極的に応募し、2014 年度には「新・ダイバーシティ経営企業 100 選」を受賞、2017年度には初代100選プライム受賞

多様な人材活躍の制度拡充、意識改革の浸透

  • 2013 年、早朝時間を利用した効率的な働き方や残業時間を削減する仕組みを導入
  • 2014 年、在宅勤務制度を導入
  • 2015 年より、仕事と子育てを両立する社員に対するサポートを充実(出産や育児に対する費用補助制度、勤務時間に関するルールの柔軟化など)
  • 2016 年、NPO 法人ファザーリング・ジャパンが主宰する「イクボス企業同盟」に加盟し、役員全員でイクボス宣言を実行
  • 2017 年より、働き方改革に対する意識改革を開始、役員全員によるブログリレーなどを通じて全社に理解と納得を浸透
  • 2017年、在宅勤務日数の制限を撤廃し、自宅やオフィスに限らず勤務することができるモバイルワーク制度を導入

経営層のダイバーシティ推進体制を整備したものの、当初は管理職の意識が追いついていなかったそうです。そこで、会長をはじめとする経営層が粘り強く直接対話を行い、ダイバーシティ推進の理念を浸透させていきました。

ダイバーシティ経営が成果につながらない企業の多くは、ここで躓いています。「形を作っただけで満足しない」「理想と現実を繋げる」「粘り強く対話する」ことが成功への大きなポイントと言えるでしょう。

まとめ

今回は、『平成29年度 100選プライム』受賞の「カルビー株式会社」さんをご紹介しました。

同族経営から「パブリックカンパニー」への成長に向け、ダイバーシティ推進を必須課題として強い決意で進められたことが伺えます。

こちらの 平成29年度ベストプラクティス集(経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室)で詳細が確認できます。

ダイバーシティ経営について知りたい方はこちらの記事もどうぞ!

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