基礎から解説!「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」とは?

経済産業省ーダイバーシティ2.0、企業100選、なでしこ銘柄など

経済産業省が推進する「ダイバーシティ経営」

今回は、その取り組みである「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」について、基礎から分かりやすく説明します。

経済産業省はなぜ「ダイバーシティ経営」を推進するの?

まずは、経済産業省がダイバーシティ経営を推進する理由から確認していきましょう。

日本社会では、少子高齢化、経済のグローバル化、産業構造の変化が、急速に進んでいます。

これまでの”標準人材”(日本語を第一言語とする日本人男性、正社員)による”均質的な組織”を前提としていると、社会システムが立ち行かなくなってしまうのですね。

ということで経済産業省が、国の施策のひとつとして、「ダイバーシティ経営」(企業の競争戦略として多様な人材を活用すること)を推進しているのです。

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「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」とは

さてそれでは、経済産業省の具体的な施策を見ていきましょう。

まず、平成24年度(2012年度)に2つの取り組みが始まりました。 

  • 女性活躍推進を実践する上場企業を、東京証券取引所と共同で「なでしこ銘柄」として選定
  • 多様な人材の能力を活かし、価値創造につなげている企業を「ダイバーシティ経営企業100選」として表彰

そして平成27年度(2015年)からは、これまで応募・選定が少なかった事例から以下の3つの重点テーマを設定し、「新・ダイバーシティ経営企業100選」として実施しました。

  • 長時間労働是正等の働き方改革
  • (女性の)職域拡大・役割の高度化
  • 外国人の活躍推進

そして2年後の2017年3月には、「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」が発表されました。

当時の企業の取り組みが「受身的」「形式的」であると指摘し、本来の目的である「競争力強化」実現に向けたさらなる取り組みを呼びかけたのです。それが「ダイバーシティ2.0」です。

その流れを受けて平成29年度(2017年度)に新設されたのが、「100選プライム」です。

「ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン」を元に、より中長期的に企業価値を生み出す取り組みを続ける企業を選定することとしました。

しかし2021年3月、「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」の事業を終了することが発表され、令和2年度(2020年度)が最終回となりました。(なでしこ銘柄は継続)

経産省のHPでは、終了の理由に関する記載を見つけられませんでした。令和2年度のレポートの運営委員の言葉には、今後も継続することを前提としているようなコメントもあり、急な決定だったのかもしれません。(コロナの影響で予算が回らなくなったのかしら・・・??)

現在も表彰企業一覧やベストプラクティスなどを見ることはできますので、参考にしてください。

表彰企業一覧、これまでの表彰企業の事例 (経済産業省 経済産業政策局 経済社会政策室)

どんな企業が選ばれているの?

「100 選プライム」の対象と評価のポイントは、以下のように定義されています。

【対象】
「ダイバーシティ経営の取組」を、より「中長期的に企業価値を生み出し続ける取組」としてステップアップするべく、「ダイバーシティ2.0」に取り組む企業

【評価のポイント】
『ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン-実践のための 7 つのアクション』の取組状況及び取組による企業価値向上の成果を評価します。

経済産業省 – 令和2年度ベストプラクティス集

「新・ダイバーシティ経営企業100選」の対象と評価のポイントは、以下のように定義されています。

【対象】
ダイバーシティ経営を実践し、成果を上げている企業

【評価のポイント】
「新 100 選」では、ダイバーシティ経営の「成果」、およびその成果に至るまでの効果的な「取組」の両者を対象として、「①実践性≒ストーリーの一貫性」、「②革新性・先進性≒モデル性」、「③全社レベルでの取組の浸透度や継続性」の 3 つのポイントから評価します。

経済産業省 – 令和2年度ベストプラクティス集

そして以下が、令和2年度の選定・表彰企業です。(★=従業員300人以下の中小企業)

100選プライム(2社)

  • 日本ユニシス株式会社(東京都)
  • 大橋運輸株式会社 ★(愛知県)

新・ダイバーシティ経営企業100選(14社)

  • 株式会社熊谷組(東京都)
  • エーザイ株式会社(東京都)
  • カンロ株式会社(東京都)
  • シスメックス株式会社(兵庫県)
  • スズキハイテック株式会社(山形県)★
  • 東和組立株式会社(岐阜県)★
  • 横関油脂工業株式会社(茨城県)★
  • 情報通信業 株式会社JSOL(東京都)
  • 株式会社足立商事(大阪府)★
  • 株式会社日立ハイテク(東京都)
  • 株式会社四国銀行(高知県)
  • ケイアイスター不動産株式会社(埼玉県)
  • 株式会社ズコーシャ(北海道)★
  • 株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベル(東京都)

様々な規模、地域、業種に渡っていることが分かります。

まとめ~これからの課題

今回は、経産省が平成24年度から令和2年までの9年に渡り実施した取り組み、「新・ダイバーシティ経営企業100選」「100選プライム」についてご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

この事業は終了となりましたが、日本企業における多様性の推進はまだまだ進展の余地があり、これからが正念場と言えます。

ベストプラクティス集が示す通り、「ダイバーシティ経営」の【対象】【取り組み】【成果】は多岐に渡っています。ダイバーシティを経営戦略の中でどのように位置づけるかにより、その選択肢は変わってきます。戦略が違えば当然、A社でうまくいった事例をB社で導入してもうまくいくとは限りません。

ですから、ベストプラクティスはひとつの参考にはなりますが、結局は、各企業が自社の現状を把握し、競争力向上のためにはどのような多様性が必要なのか定義し、トップから従業員まで全社を巻き込むということを根気強く進めるしかありません。

このブログが、あなたの会社・チームの取り組みのヒントになれば幸いです!

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