驚くほどよく分かる「映画で見る米国ダイバーシティ」50年の女性像の変化とは?

ダイバーシティ- エピソード、参考情報などいろいろ

最近よく耳にする、ダイバーシティ(多様性)という言葉。元々は、1960年代の米国で起きた人種差別や性差別への反対運動に端を発しています。

その辺り詳しくは知りたい方はこちら

そして現代の日本でも、これからの企業経営に必須の考え方として、多様な人材を活かすダイバーシティマネジメントが取り上げられるようになってきました。

とはいえまだまだ多くの人にとっては、昨日とあまり変わらない日常の中で、「ダイバーシティとか多様性とか言っても、なんかピンと来ないな~」というのが本音なのではないでしょうか。

そこで今回は、ダイバーシティの中でも「女性活躍」を取り上げ、各年代のアメリカを舞台に女性が活躍する映画を通して、ダイバーシティという考え方が生まれた背景やその変遷をご紹介します。

「こういうことならうちの会社にもある!」とか「こういう思いをしたことある!」など、実は身近なところにダイバーシティ的課題があることに気づくかもしれません。

あとは単純に、清々しく闘う姿にすっきりしたり、描かれる女性像の変化に驚いたり、みたいな楽しみ方もOKです(笑) それではいってみましょう!

1960年代 代表!『ドリーム』

監督:セオドア・メルフィ

出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ 他

公式サイト 『ドリーム』

1960年代初頭、旧ソ連と熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた米国は、宇宙飛行士を宇宙空間に送り出し帰還させるという国家の威信をかけた一大プロジェクトを開始しました。

そこで、”NASAの頭脳”として最も重要な役割を担った3人の女性の奮闘を描いた実話です。

原題は「Hidden Figures(隠れた数字)」。差別や困難に屈せず、”数字は正しい答えを示す”と職務に全うする凛々しい姿が爽快!

一方、極めて大きな功績を残したにも関わらず、この3人の存在は近年までほとんど語られなかったという残念な状況があります。性別、人種、世代といった壁の存在、そして権力の在り方を考えさせられます。

それはそれとして、なんといっても3人の女優陣が超チャーミング!なにかに夢中になれるっていいな、って素直に思えます!

1970年代 代表!『ビリーブ 未来への大逆転』

監督:ミミ・レダー

出演:フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、キャシー・ベイツ 他

公式サイト 『ビリーブ 未来への大逆転』

原題は「On The Basis Of Sex」。アメリカでもっとも尊敬された女性、元最高裁判事 ルース・ギンズバーグ の若かりし頃を描いた実話です。

ルースは2020年9月に膵臓がんによる合併症のため他界しましたが、今もリベラル派や女性、若者たちから絶大な支持を集めています。

1970年代のアメリカは、女性が職に就くのは困難で、自分名義のクレジットカードさえ作れなかった時代でした。

そんな中、弁護士ルースは、史上初の男女平等裁判を起こしました。法の専門家たちに「100%負ける」と断言された上訴に踏み切り、権力に立ち向かったのです。

サブエピソードとして、大学時代から連れ添った夫のマーティンとのパートナーシップにも注目!

人には得意不得意があることを二人は理解し、互いを支え合っていました。例えば、ルースは料理が下手で、マーティは得意。だからマーティが料理を担当していました。

1970年代のアメリカという男性優位の社会において、固定観念にとらわれず、自分たちのやり方で互いを思いやる姿は、多くを教えてくれます。

1980年代 代表!『ワーキング・ガール』

監督:マイク・ニコルズ

出演:メラニー・グリフィス、シガニー・ウィーバー、ハリソン・フォード 他

1980年代、ニューヨークの証券会社で働く30歳のテス。仕事への意欲と野心は満々、でも学歴が低いために低賃金の”大部屋秘書”の日々を送っていました。

そんなテスが、ひょんなことで得たチャンスを活かし、成功を掴んでいく姿を描くサクセスストーリー。

そう、サクセスストーリー・・・のように見えるのですが、実はまだまだ一筋縄ではいかないのがこの時代の「ダイバーシティ」であり「女性活躍」なのです。

最後の場面でテスは、成功の象徴としてオフィスに自分の部屋を持つのですが、よく考えたら、”ホワイトカラー”としてはここからがスタート。

そしてそもそも、テスが ”スタートラインに立つ” ことができたのは、ひねり出した反則技がラッキーにもうまくいったからなのです。(しかも男性のサポートなくては成り立たないというのもミソ。)

テスの”成功”が皮肉にも、この時代に女性が正攻法で認められることのレアさを表しています。

ちなみにこの頃の背景としては、米国の巨大企業が事業の多角化を推し進め、マーケットが急速に肥大化・グローバル化していた時代。日本企業が米国企業を買収しまくるなど、世界規模での経済競争が激しさを増していた時期でもあります。

女性たちの肩パッド入りのスーツが、当時のアグレッシブさを表しているのでしょう。たぶん。

あと、「秘書」と「キャリア女性」の服装や髪形が明らかに違っていて、女性の外見に関するステレオタイプがばっちり分かるのも面白いです。

1990年代 代表!『テルマ&ルイーズ』

監督:リドリー・スコット

出演:スーザン・サランドン、ジーナ・デイビス、ハーベイ・カイテル 他

米南部の小さな街に住む、主婦のテルマとウェイトレスのルイーズ。抑圧的な夫のもとで自分を抑えて暮らしているテルマに対して、レストランで働く独身のルイーズは勝ち気で姉御肌。友人同士の2人は、リフレッシュのため週末だけのドライブの旅へ出ます。

ところがその途中、解放感から悪酔いしたテルマがバーで知り合った男にレイプされそうになり、ルイーズが彼を射殺してしまいます。

その事件をきっかけに、二人は吹っ切れたように”やりたいこと”をやり、逃避行を続けます。自分で何も決められなかったテルマが、なんと強盗までやってのけてしまう・・。

そして衝撃のラスト。

彼女たちは自由を選び、男性の手の届かないところに辿り着くのです。

そして彼女たちの逃避行と並んで興味深いのが、男性の描かれ方です。

「支配者」は支配していたはずの女性に去られ動揺し、「暴力をふるう者」は女性に”殺される側”へ。

その他、「愛を与える者」「裏切り者」「理解者」など様々な役割の男性が登場します。

時代背景としては、1990年代の米国は、ダイバーシティへの意識が社会に広まり、差別に関する訴訟が増加していました。歴史ある大企業が集団訴訟で多額の和解金を支払うなど、「これまでのやり方」が通用しなくなっていることが示されていました。

この映画では、男性優位社会からの転換、ステレオタイプからの脱却、そして多様な社会の到来が描かれているのではないでしょうか。

30年前の作品ですが、実は2021年の日本にフィットしている題材です!

2000年代 代表!『エリン・ブロコビッチ』

監督:スティーヴン・ソダーバーグ

出演:ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカート 他

3人の子供を持つシングルマザー、無学歴、無職。そんなエリンにさらなるトラブルがふりかかり、交通事故に巻き込まれてしまいます。

事故の裁判では自らの暴言のため敗訴し、子供の親権も取られ、貯金残高は16ドルに・・・。

いよいよ追い込まれたエリンは、弁護士エドのもとに押しかけ、無理やりアシスタントとして働き始めます。

そんなこんなでエドの事務所で書類整理をしている時のこと。エリンは持ち前の好奇心と鋭い勘で、大企業PG&E社の水質汚染により、地域住民に深刻な健康被害が出ていることに気づきます。

法律の知識はないけれど、強烈な使命感と正義感で調査を始めるエリン。気になったことはとことん調べ、話を聞き、人を巻き込み、ついに史上最高額の和解金を勝ち取ることになるのです。

こうして見ると、エリンはまさにダイバーシティを考えるうえでの生きた題材!

日本の一般的な企業なら、彼女のような人材は雇わないでしょう。学歴も一般常識もないし、トラブルも抱えている。まず書類審査で不合格。

例え何かのはずみで採用に至ったとしても、こんなにコントロールが難しい人材を受け入れられる組織がどのくらいあるでしょうか。特に同質性を前提とする組織であれば、相当やっかいな存在になるはずです。

だけど彼女は、自分で目的に向かって動き、惜しみなく努力し、成果を出すのです。

このような人材を受け入れ、能力を発揮できるようサポートすることが「ダイバーシティ&インクルージョン」であり、価値の創造やイノベーションに繋がるのでしょう。

日本企業の皆さまに、ダイバーシティ研修の材料として取り入れていただきたい映画です!

映画好きなあなたはこちらの記事もどうぞ!

ダイバーシティマネジメントについて知りたい方はこちらもどうぞ!

参考:映画の感想を英語でアウトプットしてみよう

良い映画を見た後は、誰かに話したくなりますよね。この、「誰かと共有したい!」という思いがコミュニケーションの基本だと思います。

この記事を読んでいるあなたは、きっと、日々努力してキャリアを重ね、多様な社会の到来に気づき、世界とコミュニケーションを取るために英語の勉強もしているのではないでしょうか。

そんなあなたにお勧めなのは、「映画の感想を英語で話すこと」です。

例えばお気に入りの台詞をメモして使ってみたり、感情が動いたシーンについてなぜ感情が動かされたのか英語で説明してみたり。

多くの研究により、アウトプットを前提としたインプットは、何倍もの学習効果がある ということが分かっています。

私自身、英会話の勉強法を試行錯誤する中で、「アウトプット前提型」の効果を体感しました。

「うわ、今の表現かっこいい!次のレッスンで使ってみよう」という感じです。

ぜひ皆さんにも試してほしい~~!!

ということで、映画について英語でお喋りするなら、リラックスして話せる環境がばっちり!

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