最近よく耳にする、「ダイバーシティ」「多様性」。
いつも通りに仕事をして、知っている人と話して、普段と変わらぬ日常を送っていると、「ダイバーシティ」なんて、なんだか遠いことのように感じるかもしれません。
でも実は日常の中に、多様な視点を得るヒントはたくさんあります。
例え同じ国で育った人でも、個人の環境や経験などによって、ものの見方や考え方は異なります。
ひとり暮らしの人と三世代同居の人、海外に行った経験がある人とない人、ものごとをはっきり言うのに慣れてる人と抑える人、などなど。日常に「多様」は溢れています。
そこで今回は、「こんな見方あったのか!」と驚く、多様な視点に気づかせてくれるメッセージ・動画をご紹介します。
「多様性」を意識することで、「この人とは意見が合わない!」で終わらず「この人からはどう見えているのだろう」と考えてみたり、自分の”当たり前”をちょっと疑ってみたり。
新しい視点を得たり、豊かな人間関係が生まれるきっかけになれば幸いです!
「ボクのお父さんは、桃太郎というやつに殺されました」
日本新聞協会広告委員会が実施している 「新聞広告クリエーティブコンテスト」 。
2013年度のテーマは、「しあわせ」でした。
最優秀賞に選ばれた「めでたし、めでたし?」 は、日本人がよく知る昔話「桃太郎」を題材に、はっとする問いを投げかけています。
鬼の側から見たら?
鬼にも家族がいたら?
「めでたし、めでたし」は誰のため?
”反対側の視点” を強く主張すると、単に違いを際立たせたり対立を生んでしまいます。
この作品では、「ちいさな鬼の子の涙と手書きの文字」によって、自然に想像力が働き、”反対側の視点”に思いをはせることができます。
この世には ”絶対的な正義” などない、視点次第なのだ、ということを改めて感じます。
苦情殺到! 桃太郎編
さて、”桃太郎もの”をもうひとつ!
「日本の典型的な昔話」「ヒーロー(チーム)と悪者」という”共通の絵の描きやすさ”が、題材として人気の理由でしょう。
公益社団法人ACジャパンが、“ネットモラル” をテーマに作成したCMです。
「昔々、おじいさんとおばあさんが~」と、よく知る物語が進んでいきます。
が!桃を拾おうとしたおばあさんに起きたのは、なんと・・・
事情もよく知らずに判断したり、
”自分の正義”を振りかざしたり、
悪意を一方的に投げつけたり・・・
ネット社会で発生している「”自分側”だけの世界」への警鐘が込められています。
その言葉の先には、自分と同じように様々な事情を抱えた誰かがいる、ということを忘れないようにしたいですね。
I WILL WHAT I WANT(私の意志のままに)
続いて、”勝手な判断” ”一方的な批判” に関連したものをもうひとつ。
米国のスポーツブランド「アンダーアーマー(UnderArmour)」が作成した動画です。
ひとりトレーニングに集中する、スーパーモデルのジゼル・ブンチェン。
彼女の背後には、嬉しくない言葉が次々と映し出されます。
Stick to modeling, sweetie. モデルに集中しなよ、かわいこちゃん
She is nothing special at all. 彼女は何もとりえがない
She’s old. 彼女は年寄りだ
実はこれ、 アンダーアーマーがジゼルとの契約を発表した際に、SNSで飛び交った、彼女に対する言葉の数々なのです。
ふぅ~~、ひどい。
ですよね。
でも、ちょっと考えてみてください。
自分もこういうこと、してないかしら。
無意識に、悪気はないんだけど、でも心当たりがあれば(というかほぼ全員あるはず)、それが私たちのアンコンシャス・バイアス(unconscious bias/無意識の偏見)です。
「〇〇はこういう人だ」「〇〇はこうあるべき」「どうせうまくいかない」・・・
こういう ”自分の常識” が、多様性や、そこから生まれる豊かさを遠ざけてしまいます。
それを避けるためには、まずは自分の感情を意識化して、一歩ひいて客観的に問うことから始めてください。
「ちょっとまって。これって”私の常識”じゃない?」
みたいに。
そして反対に、”誰かの常識”で勝手に判断されてしまった時には、怒りを返すんじゃなくて、自分に集中することをおすすめします。(だって言っている人は”自分の常識”に気づいていないから、対立してしまうだけなのです)
まさに、”I WILL WHAT I WANT 私の意志のままに!
The DNA Journey ~DNAの旅
最後は、デンマークに本拠を置く格安チケット検索サイト「Momondo」が作成した動画です。
インタビューで自分のルーツを問われ、「100%」の自信をもって答える人々。
ですがDNA検査によりそれがはっきりと覆され、自分の中に潜む多様性に気づきます。
自分の ”DNAの旅” を知った時の、驚き、恥ずかしさ、涙、そして笑顔。
柔らかく変化していく表情が印象的です。
そうなのです。
「多様性」というと「違い」にばかり目が行きがちですが、実はそうじゃない。
例えば「人間」と「チョコレート」って全然違う存在ですが、「多様性がある」とは言わないですよね。(チョコレートが10種類ならんでいたら、「多様な種類」とは言うけど)
つまり、「多様性」とは、それぞれ「違う」けれど「多くのことを共有している」存在に使うわけです。
だから”反対側の視点”を想像することもできるし、それを認め合える。
多様性の意味を改めて考えられる、素敵な動画ですね。
まとめ
今回は、多様な視点を得られるメッセージ・動画をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。
「こんな見方があったのか!」という気づきのきっかけになれば幸いです。
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