【2021調査】世界5,050名のCEOが回答!コロナ禍の経営/人事戦略とは?

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大手コンサルティングファームのPwCが2021年3月に発表した『第24回世界CEO意識調査』

COVID-19の拡大から1年後の2021年1月~2月に実施されたこの調査は、世界のCEOが新しい脅威の中でビジネスをどのように創り進めていこうとしているのかが伺える、注目の内容となっています。

今回は、この調査結果の中でも特に、人材戦略や多様性に関連する項目に注目してご紹介していきます。それではいってみましょう!

『第24回世界CEO意識調査』とは?

PwCが2021年1月から2月にかけて、100の国と地域の5,050名のCEOを対象として行った調査です。

今後12カ月の世界経済や企業の成長見通しについて質問し、その結果を世界全体、各地域ごとでまとめ、発表しています。

今回の調査は、コロナ拡大後初の実施であることとあわせて、回答者数が昨年同調査の3,501人から大幅に増加していることも注目の要素です。

なお、回答者5,050名のうち、日本のCEOは166名となっています。

どのような質問項目があるの?

2021年度の調査では、以下のような質問項目が見られました。

  • 今後12か月間の世界経済の見通し
  • 今後12カ月間および3年間の自社の売上成長見通し
  • 今後12か月に計画している、自社の成長促進施策
  • 自社の成長見通しに対する潜在的な脅威
  • COVID-19危機を受けての、今後3年間の長期投資計画
  • 自社の競争力を高めていくための人材戦略  など

PwC 第24回世界CEO意識調査 からまとめ

これを世界のCEO5,050人が答えているのです!なんとも興味深い調査ですよね。

なお、質問項目には、定番化しているものと、その年の注目テーマを反映しているものがあります。

例えば2020年度の調査では「気候変動」が、2019年度では「AI」が大きなテーマとして登場していました。

「潜在的な脅威」について

ここからは、個々の項目に注目し、特に人材戦略に関する項目を取り上げていきます。

まずは、自社の成長見通しに対する潜在的な脅威に関して、「非常に懸念している」と回答した項目に注目です。

「非常に懸念している」その1:鍵となる人材の獲得

日本のCEOの46%が「非常に懸念している」と回答。世界全体では28%。

ちなみに同項目は、前年の2020年度調査では日本のCEOの53%が「非常に懸念している」と回答。世界全体では32%。

世界規模での優秀な人材の獲得競争において、日本は「雇い負け」していると言われています。理由として、給与の低さなど待遇面での見劣り、均質的で硬直的な組織体質や労働環境などが挙げられています。

それを表すように、世界全体ではTOP10入りしていない【鍵となる人材の獲得】が、日本では約半数のCEOにとって大きな懸念事項になっています。

「非常に懸念している」その2: 従業員の健康悪化や幸福感の低下

日本のCEOの40%が「非常に懸念している」と回答。世界全体では22%。

警察庁と厚労省の発表によると、日本での2020年の自殺者数は前年比912人増(4.5%増)の2万1081人と11年ぶりに増加に転じています。

コロナ拡大による従業員の心身への影響は、日本企業にとって深刻な懸念材料になっていることが伺えます。

「今後投資を増やす分野」について

続いて、COVID-19危機を受けて、今後3年間で長期投資大きく増やす(増加割合10%以上)と回答した項目を見てみましょう。

「長期投資を10%以上増やす」:リーダーおよび人材の育成

世界のCEOの24%が「大きく増やす」と回答。日本では14%。

この項目に限らず全体的に、世界全体に比べて日本のCEOは「大きく増やす」と回答した項目が少なく、投資控えの傾向がみられます。

デジタルトランスフォーメーション[Dx]への投資に関しても、世界全体では49%、日本では31%と10%以上の開きがあります。

参考)スキルアッププログラムの遅れ

人材育成に関して、併せて参照しておきたい内容があります。前年2020年度の調査結果のひとつです。

「ソフトスキル、テクニカルスキル、デジタルスキルを組み合わせたスキルアッププログラムの確立において、貴社ではどの程度進展していますか。」という問いに対して、「大きく進展している」と回答した割合は、以下の通りです。

  • 世界全体 18%
  • 中国 35%
  • 米国 8%
  • 日本 2%

社員スキルアップに関する取り組みが、日本では大幅に遅れていることが分かります。2021年度の投資控えの傾向を見ると、その差はまだ縮まらない、もしくは広がってしまうことが懸念されます。

「競争力を高めるための人材戦略」について

次に、自社の競争力を高めていくために、人材戦略のどのような点を変えていくか(最大3つまで選択)という質問への回答について、世界全体と日本それぞれのTOP5を見てみましょう。

【世界全体】

順位回答割合(日本)
1位オートメーションとテクノロジーによる生産性への注力36%(15%)
2位職場の文化および行動様式32%(18%)
3位従業員のエンゲージメントおよびコミュニケーション30%(45%)
4位従業員の健康と福利への注力28%(8%)
5位将来のリーダー輩出への注力26%(45%)

【日本】

順位回答割合(世界全体)
1位将来のリーダー輩出への注力45%(26%)
1位従業員のエンゲージメントおよびコミュニケーション45%(30%)
3位多様性の受け入れへの注力24%(25%)
3位従業員のスキルおよび順応性への注力24%(31%)
5位職場の文化および行動様式18%(32%)

日本で目立った傾向として、【将来のリーダー輩出への注力】と【従業員のエンゲージメントおよびコミュニケーション】が並んで45%と、大きく他を離していることが分かります。

「潜在的な脅威」の項目で、【鍵となる人材の獲得】と【従業員の健康悪化や幸福感の低下】が日本のCEOにとっての大きな懸念点になっていることとつながります。

【多様性の受け入れへの注力】については世界全体と日本がほぼ同水準で、4人に1人のCEOが「変えていく」と考えています。

また、世界全体で1位の【オートメーションとテクノロジーによる生産性への注力】36%に対して、日本では15%と低い数値であることも大きな特徴です。

世界全体では、Dxへの投資を大きく増やし、オートメーションとテクノロジーによる生産性を上げることが最優先事項となっている一方、日本では鍵となる人材の獲得と育成、従業員のケアや環境作りが優先事項になっていることが分かります。

まとめ

今回は、PwCの『第24回世界CEO意識調査』をご紹介しました。いかがでしたでしょうか。

以前の調査結果をあわせて確認すると、傾向の変遷などが分かりより理解が深まります。参考にしてください!

過去の調査結果はこちら

PwC 第23回世界CEO意識調査 第22回世界CEO意識調査

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