『7つのメンタルイメージ』とは、オランダの社会学者Huib Wursten氏が提唱した考え方で、同じくオランダの社会人類学者 ホフステード博士の『6次元モデル』を元に世界各国の文化を分析し、傾向が似ている国々をモデル化したものです。
今回は、『7つのメンタルイメージ』のうち、ラテンアメリカ(特にブラジル)などで見られる『Pyramid:ピラミッド』モデルに焦点を当てていきます。
世界の各地域に広く存在するPyramidモデルの特徴を知り、ビジネスやマネジメントに役立ててください。
『Pyramid:ピラミッド』モデルとは?
まずは、Pyramidモデルの基本定義を確認していきましょう。
主な該当国
ラテンアメリカ諸国(特にブラジル)、アラブ諸国、イラン、イラク、ギリシャ、ポルトガル、ロシア、タイ、トルコ、韓国、台湾
ご覧の通り世界各地に点在し、実は世界で最も多数派のモデルなのです。
特徴
- PDI(権力格差):高い =「権力格差を受け入れやすい」
- IDV(個人主義):低い =「集団主義」
- MAS(男性性):平均的 =「”競争”と”協力” の中間」
- UAI(不確実性回避):高い =「”石橋を叩いて渡る”」
キーワード
ヒエラルキー、トップダウン、中央集権、権威主義、専門家や年上を敬う、組織への忠誠心、人間関係、面子(メンツ)を保つ、ハイコンテクスト(文脈依存)
Pyramidモデルを理解する3つのポイントとは?
次に、Pyramidモデルの考え方や価値観を見ていきましょう。
各特徴は、Huib Wursten氏の『Mental images of culture A perspective to understand misunderstandings In politics, business, religion & …』を参考にまとめています。
1. 組織や仕事に関する前提
中心となる価値観は?
「トップダウン」と「ヒエラルキー」
物事の決定は、トップダウンが基本です。ヒエラルキー(階層)を守ることは重要で、基本的なこととして広く受け入れられています。
組織に対する考え方は?
「中央集権」と「全体利益」
決定権はトップにありますが、軸となる方針は「全体利益の追求」であることが求められます。
2. 適しているマネージメントスタイル
適しているマネジメント方法は?
「トップダウン」と「明確な権限範囲」
部下に許されるのは、「正式に認められた権限内での判断」です。権限外のことや想定外のことが起きた場合は、「上長に指示を仰ぐべき」とされます。
ここで確認しておきたいのは、「優秀人材」や「良い組織」の定義は、モデルによって大きく違うということです。
例えばこのPyramidモデルと、Contestモデル(米国など)、Networkモデル(北欧など)では、その差は大きいです。
自身が所属している組織のモデルを知ることや、自身のチームメンバーが背景に持つ価値観を知ることは、マネージメント上、極めて重要な要素と言えます。
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モチベーションの元は?
中央集権型の組織は、リーダーに対して、家族の父親/母親的な人物像を求めます。「~をしなさい」「~してはいけない」を明確に指示する、自信と威厳ある人物です。
そして、リーダー(にふさわしい人)や組織に対する 「ロイヤリティ(忠誠心)」 が一番のモチベーションの元です。
また、忠誠心の見返りとして、リーダーは人々の世話をし、見返りを与えることが求められます。それは、「出世」や「金銭」であることが期待されます。
業績や成果ではなく”人間関係に基づいた出世”がよく見られるのも、この仕組みからなのです。
3. コミュニケーションの方法は?
面子を保つことや人間関係が重視されるので、間接的でハイコンテクスト(=文脈依存)のコミュニケーションが好まれます。
また、ネガティブなことを伝える際には、「正式なかたち」である方が受け入れられやすいです。
個人の見解ではなく、”ヒエラルキーに則り、正式な手順で調査報告をしている”とする方が、人間関係を良好に保つのでしょう。
まとめ
今回は、『7つのメンタルモデル』のひとつ、『Pyramid:ネットワーク』モデルの特徴をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
あくまでこれは「全体傾向」であり、もちろん個人差はありますが、自分が所属する社会・組織と違う価値観を知る参考としてご覧いただけたら嬉しいです。
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