日本では当たり前と思っていることが別の国では通じない・・・海外経験がある方や、多国籍チームで仕事をしたことがある方は、少なからず経験があることでしょう。
ビジネスのグローバル化が進む中、異なる文化に属する相手と円滑なコミュニケーションを実現するためには、多様な価値観や考え方を知る必要があります。
それを可視化したのが、オランダの社会人類学者 ホフステード博士がまとめた『6次元モデル』です。
さらに、6次元モデルを元に、傾向が似ている国々まとめてモデル化したものが、オランダの社会学者Huib Wursten氏が提唱した『7つのメンタルイメージ』です。
今回は、『7つのメンタルイメージ』のうち、主にヨーロッパで見られる『Solar System:太陽系』モデルに焦点を当てていきます。
フランスなどヨーロッパを代表するSolar Systemモデルの特徴を知り、ビジネスやマネジメントに役立ててください。
『Solar System:太陽系』モデルとは?
まずは、Solar System:太陽系の基本定義を確認していきましょう。
主な該当国
ベルギー、フランス、北部イタリア、スペイン、スイス(フランス語圏)、ポーランド
特徴
- PDI(権力格差):高い =「権力格差を受け入れやすい」
- IDV(個人主義):高い =「個人主義が強い」
- MAS(男性性):平均的 =「”競争”と”協力” の中間」
- UAI(不確実性回避):高い =「”石橋を叩いて渡る”」
キーワード
ヒエラルキー、トップダウン、中央集権、官僚主義、法律尊重主義、知性主義、演繹的、分析的、名誉
Solar System:太陽系を理解する3つのポイントとは?
次に、Solar System:太陽系の考え方や価値観を見ていきましょう。
各特徴は、Huib Wursten氏の『Mental images of culture A perspective to understand misunderstandings In politics, business, religion & …』を参考にまとめています。
1. 組織や仕事に関する前提
中心となる価値観は?
「道徳的・倫理的アプローチ」
「ヒエラルキーの受容」と「個人主義」の均衡が生んだのが、「道徳的・倫理的アプローチ」です。「善きこと」が合理性や機能性より優先され、上位に値するとされます。
他のモデルと比較してみると、例えばラテンアメリカなどでみられる『Pyramidモデル』もPDIが高く、ヒエラルキーを受け入れます。
ですが、個人主義が低い、つまり集団主義であるため、”年上であること”や”父親的存在”が上位者となります。
同じ”ヒエラルキー受容”でも、上位とする存在のイメージが異なるのが分かりますね。
Pyramidモデルについてはこちらをどうぞ!
組織に対する考え方は?
「限定的なヒエラルキー受容」
ヒエラルキーは受け入れる一方、個人主義が強いので、「権力内では逆らわない」けれど「権力外では自分の好きなようにする」という傾向があります。
仕事とプライベートをきっちり分ける姿勢は、この傾向からきているようです。
2. 適しているマネージメントスタイル
適しているマネジメント方法は?
「トップダウン」と「明確な権限範囲」
基本的には、Pyramidモデルとほぼ同じです。正式に規定された範囲内での業務遂行が基本であり、明確な権限範囲や業務記述書が求められます。
リーダー像としては、Pyramidモデルのような「家族の父親的存在」でも、Contest(競争)モデルのような「不可能をやってのける成功者」でもなく、「一目見て分かりやすい知的専門家」が尊敬を集めます。
Pyamidモデルと違い個人主義が強いことと、 Contestモデルと違い機能や成果よりも知性や倫理を重んじるためです。
Contestモデルについてはこちらをどうぞ!
モチベーションの元は?
Pyramidモデル と大きく異なるのが、「報酬」です。金銭的な見返りや分不相応な出世よりも、「善き」人事、つまり「適材適所」の采配が求められます。
また、日々の業務に直接関与することはモチベーションを低下させます。個人の専門領域を侵さず、簡潔で明確な報告や指示を定期的に行うことが好まれます。
3. コミュニケーションの方法は?
個人主義であるため、基本的には直接的なコミュニケーションを好みます。礼儀正しく、フォーマルな話し方が望まれます。
また、哲学的考察や論理を尊重するため、議論に時間をかけることを惜しみません。「自分の意見を持っていること」が尊重されます。
重要なポイントとして、専門家としてのプライド、名誉を重んじるので、それを軽んじるような言動は厳禁です。
まとめ
今回は、『7つのメンタルモデル』のひとつ、『Solar System:太陽系』モデルの特徴をご紹介しました。いかがでしたでしょうか?
あくまでこれは「傾向」であり、個人差はありますが、多様な価値観を知るきっかけとしていただけたら嬉しいです。
メンタルイメージをもっと知りたい方はこちらもどうぞ!
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